KAZE通信
風土計画一級建築士事務所の事務所日記
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公共建築を木造で建てる
Category 学び
戦後復興期に公共建築物の不燃化(非木造化)を国は推進してきましたが、国内の木材の自給率をあげ、将来にわたる山の健全化をめざし、昨今は公共建築で木材の利用を促進する動きに変わっています。木造で大きな建物というと、お寺、東大寺大仏殿。九州だと、熊本の小国ドームとか。実際、ビルやマンション、工場、住宅を含めた建築物全体の36%が木造。公共建築物で木造となると、7.5%と少ないそうです。数字で意識したことはありませんでしたが、たしかに駅や美術館、図書館などで木造はあまり見かけないですね。
そのようなお話もありましたが、興味深く思ったのは、世界の木造建築物です。完成後の写真だけでなく、建て方中のも交え紹介してくださり、おもしろかったです。写真は、スペインの「メトロポール」というJ. Mayer. H.設計の4階建てのショッピングモール。規模と、うねるようなこの曲線、木造とは思えません。近年、日本でも技術は進化し、曲線のプレカットも可能になっているそうです。木造といっても、ひとくくりにできない時代がくるかもしれないですね。
住宅と比べ、不特定多数が使用する故に公共建築物や民間の社会福祉施設等は法規制が多くなりますので、またこういう場に参加し理解していきたいと思います。国産の木材が使いやすくなったり、木造の技術が見直される、継承されることにつながることを期待しつつ。
(写真引用:J. Mayer. H.事務所HP)
今年は、雷に関するニュースがよく報じられています。当事務所でも、「すごく近くに落ちた」と実感することが何度もありました。先日、コピー会社のメンテナンス担当の方が、雷とパソコンについてお話してくれましたので、紹介します。(図:富士通HPより引用)
近くで雷がなった後や落雷があったあとに、パソコンが壊れてしまった例が、今夏は多いとのこと。直接の落雷があった場所だけではなく、雷の発生した周辺に大きな電圧が発生すること(「雷サージ」)があり、その異常電圧の影響で、電線・電話線・TVアンテナ線など外部とつながるケーブルをとおしてパソコンに電流が流れ、壊れてしまう。ちなみに、避雷針のあるマンションだから大丈夫というわけでもなく、避雷針から建物内部に流れることもあるそうです。
パソコンが壊れてしまうと本当に困ります。近くで雷がなったら、以下の対策を!
1. 大切なデータは保存
2. パソコンの電源を切る
3. パソコンの電源ケーブルをコンセントから外す
4. 外部とつながるTVアンテナ、LANケーブルなどを外す
つまり、雷が近くでなっているときはパソコンは使用しない。作業中だと予定が狂い困りますが、パソコンがクラッシュした方が大変ですので、判断しなくてはですね。
また雷サージ対応の電源タップは、雷サージがパソコン等に流れないように保護するタップなので、このような機器を使うのもお奨めだそうです。ただし、このタップを利用していても、落雷などの恐れがあるときはパソコンの電源は切りましょうとのことでした。
万一に備え、日頃からデータのバックアップは定期的に行なっておくことが、ダメージを最小限に防げる方法かもしれません。外出時も含め、雷には気をつけましょう。
この映画は、「最後の宮大工」と称される西岡常一氏の薬師寺伽藍再建を追ったドキュメンタリー映画です。「そんなことしたら、ひのきが泣きますよ」など、印象に残る、重みのある言葉がたくさん出てきます。どんなときも仕事にまっすぐ向き合う姿勢をひしひし感じます。大工の技術、仕事に見惚れます。おすすめしたい映画です。
福岡では、中州大洋で上映されています。当初の予定より、上映期間が延長されていますので、ぜひご覧ください。 (Tsuki)
【映画公式HP】 http://www.oninikike.com/
【中州大洋】 福岡市中央区中洲4-6-18
4月14日(土)~5月11日(金) 上映時間はご確認ください
http://www.nakasu-taiyo.co.jp/index.html
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ザビエル旧聖堂再生プロジェクト
Category 学び
鹿児島市の旧ザビエル聖堂が、福岡県宗像市に移築復元されていることをご存知ですか。
1949年に建てられた木造の教会で、間口13m、奥行き32m、高さ21m。建て替えのため解体することが決まり、「この建物は残さなくてはいけない」とNPO文化財保存工学研究室が立ち上げられました。2003年からスタートした工事は、その作業の大半をボランティアが担い、来春の完成を目指して進められています。
4月14日(日)「完成を1年後に控えた見学会と報告会」が開催されるということで、二人で参加してきました。昨秋に現場を訪れたときは、内部は漆喰塗のための下地が組まれた状態(写真:上段左)でしたが、中塗りを終えた状況(写真:中段右)で、印象が変わっていました。見学のあと、柱頭に付く飾りや水平材に付く飾りの製作実演を見学。左官職人で、この技術を継承している人が少ないこと、時間、費用がかかることから、 ボランティアメンバーが左官職人や文化財修復の専門家から手法、意見を得ながら、木枠やシリコン型に石膏を流し込み製作する方法を見出したとのことでした。これらの3000近くの飾りが、今後取りけられるとのことで、ますます完成の姿が楽しみになりました。
復元にあたっては、強度を増すためには多少の見てくれは悪くても柱などの構造材を追加したり、耐久性や維持への配慮をしていると建物修復家の土田理事長より説明がありました。復元することに意味があるのではなく、後世にこの建物を残す(つなぐ)ことを意識されていることを強く感じました。
1年後の完成までに、また見学にうかがいたいと思っています。木造の教会の建築過程を見る機会は、この先あるかないか。とても貴重な経験で、今回も終始興奮状態でした。 (Tsuki)
NPO文化財保存工学研究室BLOG http://ameblo.jp/iglesia-de-xavier/